神戸の人たちへ

 ごびらっふの独白   草野心平 
 山頭火を歌う  種田山頭火 
 風吹いてゆくように  芦田容子
 トレドの町  芦田容子
 ばっぷくどん  草野心平
 グリマの死  草野心平
 海のミラージュ  中沢昭二

この 「神戸の人たちへ」 という作品は1995年の阪神大震災の折に、神戸の方々へ
知人を通じてお送りし、義援金にさせていただいたテープでした。
好評につき、2008年ここに復刻CDといたします。

1 ごびらっふの独白         詩  草野心平
    (この詩は前半がカエル語で、後半が日本語の訳です)


             

るてえる びる もれとりり がいく。
ぐう であとびん むはありんく るてえる。
けえる さみんだ げらげれんで。
くろおむ てやらあ ろん るるむ かみ う りりうむ。
なみかんた りんり。
なみかんたい りんり もろうふ ける げんげ しらすてえる。
けるぱ うりりる うりりる びる るてえる。
きり ろうふ ぷりりん びる けんせりあ。
じゆろうで いろあ ぽらあむ でる あんぶりりよ。
ぷう せりを てる。
りりん てる。
ぼろびいろ てる。
ぐう しありる う ぐらびら とれも でる ぐりせりや ろとうる ける ありたぶりあ。
ぷう かんせりて る りりかんだ う きんきたんげ。
ぐうら しありるだ けんた るてえる とれかんだ。
いい げるせいた。
でるけ ぷりむ かににん りんり。
おりぢぐらん う ぐうて たんたけえる。
びる さりを とうかんてりを。
いい びりやん げるせえた。
ばらあら ばらあ。

日本語訳


幸福というものはたわいなくっていいものだ。
おれはいま土のなかの霞のような幸福につつまれてゐる。
地上の夏の大歓喜の。
夜ひる眠らない馬力のはてに暗闇のなかの世界がくる。
みんな孤独で。
みんなの孤独が通じあふたしかな存在をほのぼの意識し。
うつらうつらの日をすごすことは幸福である。
この設計は神に通ずるわれわれの。
ジュラ紀の先祖がやってくれた。
考へることをしないこと。
素直なこと。
夢をみること。
地上の動物のなかで最も永い歴史をわれわれがもってゐるということは
平凡ではあるが偉大である。
とおれは思ふ。
悲劇とか痛憤とかそんな道程のことではない。
われわれはただたわいない幸福をこそうれしいとする。
ああ虹が。
おれの孤独に虹がみえる。
おれの簡単な脳の組織は。
言はば即ち天である。
美しい虹だ。
ばらあら ばらあ。

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ギター弾き語り 芦田容子